【新宿→喜多方】ひたすら在来線で雪国へ行って心がキレイになった記録。

東北紀行文

ひたすら鈍行、普通列車の旅。

ここでは行きの新宿から福島県会津地方の喜多方までの道中で書きなぐったものを後からまとめて記事にしました。

スタート! ~関東平野を北上する~

見慣れた高田馬場を通過

12:00過ぎ、僕は年末でいつも以上に人が多いJR新宿駅にいた。

普段、大学へ行くために乗る山手線とは違うホームで湘南新宿ラインに乗る。電車はみるみるスピードを上げて、いつもお世話になっている高田馬場駅をあっという間に通り過ぎた。

新宿でいきなり座れたのはかなり大きい。なにしろ13:30頃に宇都宮につくまで、座ったまま窓の外を眺めていられる。

池袋で見た親子

池袋につくと目の前の席に座っていた二人が降りていった。

その空いた席に、見るからにこれから帰省をするのだろうという大荷物を持った男の子が滑り込んだ!!

男の子が空いた席をめがけて、勢いよく座る。そしてほぼ同時にリュックサックを隣に置いて、お父さんの席も確保した。

キャリーを引いて登場したお父さんも、周囲に申し訳なさそうな顔で、背中を丸めて席に座る。 

良くやった、少年。年末の帰省ラッシュの中、池袋で座れるのだ。お父さんもホッとしているだろう。

どこまで行くのかはわからないが、通路が人であふれる中、親子で長時間座れるのはかなり幸運だろう。

新幹線も良いが…

そうこうしているうちに電車は赤羽に到着する。

ホームに停車中、新幹線が見えた。新幹線を見ると妙にわくわくするのは小さいころから何も変わらない。

今回も新幹線で行こうかと迷ったけどあえて鈍行にした。理由はお金の面もあるが、風景を楽しみたいというのが一番大きい。

新幹線でも景色の変化は楽しめるが、速すぎる。気を抜くと、都会の風景はあっという間に田園風景になってしまう。

景色の変化

湘南新宿ラインから見える景色は浦和・大宮あたりまではどちらかと言えば都会の風景が続く。

住宅地の中を走っている感じだが、背の高いビルもある。

大宮を出て蓮田につく手前、景色が少し変わってきた。住宅が多くなり高層建築も見当たらない。郊外といった感じだ。この日初めて見た田んぼもこの区間だった。


埼玉を過ぎるとだんだんと沿線の家が立派な庭を持つようになる。個人的な偏見かもしれないが田舎には大きな庭を持つ家が多い。

土地が安いからか。お金持ちの移住が多いから。理由はわからないが、北関東や東北のように家の敷地内に植木が何本もある家は都会に少ない。

そして、同時に感じたのは目に映る景色に茶色い部分が増えてきたということだ。

少し前まで住宅が並んでいた沿線は田んぼや畑で占められるようになってきた。真冬なので畑は枯れた植物の茶色と土の茶色で荒涼としているがその感じがまたいい。


そんな車窓を見ていると、やはりこういう景色のある所に住みたいとおもってしまう。

それはいつも都会にいる人がたまに来るからそう思うのか、それとも自分には田舎の暮らしがあっているのか、どういう理由からこの思いが沸き上がるのかはわからない。

いっそ、まずは何も考えずに移住してしまおうかとも考える。


しかし、自分が20年間地元で作り上げた人間関係や土地勘を捨てて、憧れだけで移住するのは怖い。


いろいろと考えていると気が付いた時には栃木に入っていた。

小山駅からは電車のドアがボタン式になる。駅についてもドアの横のボタンを押さないと乗り降りができない。

だいぶ田舎に来たという実感がわいてきた。

東北の玄関前から

オムすび

「1」と書かれたビニールを引き、卵に包まれたケチャップライスを口に運ぶ。今にも雪の降りそうな駅のホームで食べるのが、またおいしさを増している。

いつからそうしているかは覚えていないが、いつも福島に電車で行くときは宇都宮でオムライスのおにぎり、「オムすび」を食べることにしている。完全にルーティンだ。

ホームで軽食を済ませて電車に乗ると、すでに席は埋まっていて、宇都宮からの電車では座ることはできなかった。 

寒さの実感

宇都宮を出て少しすると、線路のすぐ横に家が見えることが少なくなった。周りは雑木林か田んぼか畑になる。

車がすれ違えないような細い道が線路に沿って続いているが、車が通ることはほとんどない。 

駅に近づくと家が増えるが、それ以外はひたすら田畑の間を進むことになる。

ここまで近くの景色ばかり気にしていて、遠くの背景を見ていなかったことに気付いた。見ていなかったというより、遠景を遮る建物があって見えなかったのかもしれない。

前方を見ると雪をかぶった山が見え始めた。いよいよ来たなという感じがする。

那須塩原駅に着く直前、線路のすぐわきの畠に雪が残っているのが見えた。北に向かっているから当たり前ではあるが、やはり外は寒いのだ。

電車の中では外の景色の変化は楽しめても、気温の変化まではわからない。地面に残る雪を見て、数分後には温かい車両から出ることを思うと少しばかり億劫になる。


しかし、それと同時に少し喜んでいる自分がいることも否めない。電車は確実に自分の好きな東北に近づいている。まだ東北地方には入っていないけれど、もうすぐそこに来ているということはわかる。

地面の雪がそれを一層リアルにしてくれた。 

雪のちらつく黒磯駅

黒磯駅(栃木のいちばん北)に着いて、暖房の効いた電車内とは打って変わって冷える外気に包まれる覚悟と、東北の玄関前まで来ているというワクワク感を持って電車から降りた。

電車を降りると雪がちらついてた。やはりものすごく寒い。

黒磯では乗り換え時間が30分近くあったが、あえて待合室に入らずに寒さを楽しんだ。その間も雪は少しずつ降り続いている。

そこで感じたことは一つ、音がないということだ。新幹線がすぐ横の高架線を通過するときの轟音以外、ほとんど音がしない

子供がはしゃぐ声が聞こえてくるがそれでも静かに感じてしまう。寒さとさびれた景色がそう感じさせているのかもしれない。


黒磯からは家族連れに席を譲ったので座ることはできなかったが、僕はそれまでの旅の疲れを忘れて窓の外の景色を見るので必死だった。 

いよいよ東北地方へ

想い出の地名

新白河からはしばらく見慣れた地名が並ぶ。

誰にだって小さい頃の思い出の場所があると思う。自分にとってそれは白河のあたりなのだ。

白河駅で進行方向左側に見える小峰城は今年の9月に車で来た場所だ。震災で石垣が崩れたため立ち入り禁止の場所が多かった。

夕暮れであまりよく見えなかったが、数ヶ月ではあまり状況は変わってないはずだ。また近いうちに行ってみようと思う。

白河あたりから地面に残っている雪の量が変わった。しっかりと積もっていて、まだらにも地面は見えない。


白河駅を出て間もなく、泉崎駅に到着した。祖母が喜多方に引っ越す前はここが自分の帰省の終点だった。青い陸橋をくぐると寂れたホームが見えてくる。


停車時間は1分くらいだったと思うが、自分にとって、それは数秒ほどもない、瞬きほどの時間だった。

泉崎村での思い出に浸るにはあまりに短い時間だった。もう少しそこに居たかったからそう感じたのだろう。


郡山に近づいて、窓の外を見るともう随分と暗くなっていた。四方に見える山はシルエットだけが黒く見える。

郡山で東北本線を降りると、空が暗くなったせいか、外の空気はまた一段と寒くなった。

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