二月の末頃、北陸旅行に行ったのだが、ちょっとしてアクシデントもあり急遽予定を変更して一日早く帰ってきた。
その時に思ったのが「100点満点中70点くらいかな」という、旅行のそれらしくない感想が浮かんできた。
ここではそんな七割ギリギリ及第点の旅行を振り返ろうと思う。
山中湖の畔で旅の醍醐味を見る
出発は夜遅く、少し遅れて日付が変わる頃になってしまった。
今回は車で旅をするので荷物を積み込み、一緒に旅をする友人を迎えに行く。その友人は神奈川県の少し西よりに住んでいる。
友人宅に着いた頃には日付は変わっていた。
四泊する予定だったので、二人分の荷物を積み込むとかなりの量になった。助手席に相方が乗り込むといよいよ北陸旅行がスタートする。
初日は新倉山浅間公園という場所を目的地にめざして車を走らせる。ちなみに今回の相方は免許を取って三日のハイパー初心者なので、基本的には自分が運転することになる。
出発してしばらくすると、静岡から渋谷までをつなぐ国道246号線を走る。時間が時間なので大型車の割合が多いが、車の数としてはそこまで多くないので走りやすい。
ヤビツ峠などの行き慣れたドライブスポットを横目に、あっという間に小田原付近まで到着した。
JR御殿場線と並行してさらに走り続けると、Googleのナビは右折を指示した。山の中に入るようだ。
このように紀行文を思い出しながら書いていると地名とともに道の景色やその時の会話まで鮮明に思い出せる。
国道246号線から山道に入ったころには男二人で恋愛話で盛り上がっていた。会って1時間ほど、近況報告もかねて、会話は盛り上がっていた。
この静岡の山の中では鹿を見たことも覚えている。
そんなに大きな山ではなかったが、対向車は一台も来ず、気が付いたら山を下っていた。
地図を見るとそこは富士五湖のうちの一つである山中湖だった。
山中湖が近づいてきたところで友人がやけに盛り上がっている。話を聞いてみると夏に大学のサークルの合宿で来たところに限りなく近いらしい。
まもなく見えてきたセブンイレブンで休憩すると、そこも合宿中毎晩たばこを買うのに使ったコンビニだという。
コンビニから歩いて数分で山中湖の浜まで行けるというので、寒いのを我慢しながら歩いてみる。
あたりを見ると宿が多いようだが、この季節は宿泊客などいないのだろう。車も通らないので暗闇に無音が続く。
友人の話だと夏は大学生のサークルであふれかえっていて夜でもかなりうるさいらしい。確かに想像できる。大学生は合宿と称して飲み会のために集まるのだ。夜は楽しいに決まっている。しかし、冬の山中湖はそんな空気の面影もない。
相方は山中湖の景色を懐かしんでいるようだ。自分にはその興奮が全く分からない。
だが、旅の良さ・醍醐味とはこういうところにあると思う。昔通った場所などに、意識的・無意識的にかかわらず再び触れた時の感動はその人にしかわからないものだ。
誰かと共有できればいいのだがそれはなかなか難しい。その感動を味わえるのは自分だけでいいのだ。わかってもらう必要なんてない。
再び閑散とした道を通り車に戻ると、友人にとっては思い入れのある土地である山中湖を後にする。
新倉山浅間公園で車中泊をする
目的地の新倉山浅間公園までは、山中湖を出てから割とすぐに到着した。
新倉山浅間公園は五重塔と桜と富士山の写真を撮ることのできる有名な公園だ。無料の駐車場には翌日の写真目当てと思われる車が数台とまっていた。
この日はここで車中泊をすることになった。車は親のコンパクトカーだが、二人くらいなら寝ることができるのでこの旅ではなるべく宿泊費を浮かせるためにも車中泊を使うことになった。
朝、目が覚めると時計はすでに9時を指していた。思っていたよりも深く眠れたようだ。あまり時間に余裕のある旅行でもないので、急いで目当ての景色を見るために着替えなどの支度を済ませて外に出る。
少し歩けばもう目がかゆくなほどに花粉が飛んでいた。
公園の中は坂道になっていて、富士山の景色を見るにはひたすら階段を上らなければいけない。
少し息が上がるくらいの階段を上ると途中で五重塔が見えてきた。
説明をよく読むと戦争の戦没者慰霊の目的で建てられたものだということがわかった。
さらに五重塔よりも高いところに行くと、写真撮影スポットがある。
そこから有名な構図の写真を撮ろうと思ったのだが、春霞とでもいうのだろうか、温かく花粉も飛んでいたその日は確かにあるはずの方角に富士山は見えなかった。
せっかく来たのに少し残念だったが、もうお一度階段を降りたところの神社にお参りして、新倉山浅間公園を後にした。
↓↓次の記事
コメント