【車中泊・岩手】カッパと伝承の郷、遠野

東北紀行文

盛岡で半日過ごし、一夜明けてからの話。

伝承の里、遠野へ

名残惜しい気持ちを抑えて盛岡を出発した後に、岩手県の遠野に向かった。

途中、「紫波ふる里センター」というところで奇妙な光景に出くわしたのでその様子を紹介しよう。

遠野へは1時間ほどでついた。「カッパ淵」というところがあるのは前々から知っており、そこには朝早く、人のいない時間に行きたかった。

少しグロテスクなシーンがあるが、面白いアニメ映画だった。

※『河童のクゥと夏休み』という映画を小さい頃に見て、それから遠野という場所にはずっと来てみたかった。

カッパ淵で格好良いライダーおじさんに出会う

カッパ淵に行く前の無料駐車場で一人のおじさんに会った。

カッパ淵まで行く間に話をしたところ、半月位かけて、バイク旅をしているらしい。そういえば止まってたバイクはものすごく格好良かった。

聞けば娘さんが20歳中頃で色々あって今は独り身らしい。いったん会社を辞め、自由に旅をしている途中で、この後はフェリーで北海道まで行くのだという。

カッパ淵まで歩く間にバイクの魅力を教えてもらった。

なんでも、大勢のツーリングサークルよりも1人で好き勝手に動く方が好きだそうだ。でも旅先では色々な人に話しかけるらしい。なんだか僕の旅の仕方に似ている。

今朝は友達の家に泊まっていたそうだ。その友達が仕事で朝早く家を出なければいけないので、合わせて早い時間に出てきたらしい。そこもこの日の僕と全く同じだ。

その人のお父さんが花巻の人で、岩手に縁があると言っていた。それでも遠野に来るのは30年ぶりだそうだ。

あと10年くらいたったら、軽のバンを買って、車中泊で日本を一周するのが今の目標らしい。なんだかすごく格好いい。そのおじさんとは一緒にカッパ淵を周遊してすぐにお別れしたが、またどこかで会える気がする。

釣り竿の先にはきゅうりがくっついている。

伝承園で見た遠野の民俗文化

この日、遠野はお祭りだった。伝承園に入った丁度その時、おそらくお祭りで踊る地域の子供たちが門付で芸を披露しに来た。

はじめにそれを見学してから。施設内を回る。

(動画準備中)

「伝承園」では茅葺屋根の古民家を改装して展示がされているので、とても趣深い。なかでは“オシラサマ”や“ザシキワラシ”に関する資料や説明が見れる。

“オシラサマ”は本で読んだことがあるが、実際に見たのは初めてだった。今度“オシラサマ”に関する記事を書こう。

遠野の“オシラサマ”

遠野市街に来る途中に「千葉家の南部曲り家」を通ったのだが、大規模な改修工事中でその姿は1㎜も観ることができなかった。だが、「伝承園」にはそこまで大きくないが“曲がり家”があるので見ることができてよかった。“曲がり家”は昔、馬と人が共生するためにつくられた建築様式だ。

寂しげな風の吹くデンダラ野

カッパ淵や伝承園から少し離れたところに“デンダラ野”という原っぱがある。“デンダラ野”とは、60歳になった老人を捨てた野原のことを言うのだそうだ。姨捨山のような寂しい話だ。

捨てられた老人たちは日中には村に降りて行き、農作業を手伝ってわずかな食糧を手に入れて、“デンダラ野”にある小屋に戻る。そうして残り少ない命が絶えるまで、同じ境遇の人達とともに静かに待ったのだそうだ。

いつも姨捨山の話を聞くと、自分の親の事を考えるが、この“デンダラ野”では一昨年に無くなった祖母の事を想起した。人は年老いて死ぬ前に、ほとんどの場合には人の手を借りなくてはいけなくなる。母も介護の仕事をしているのでよく耳にする話だ。

そのような人たちは、人の手を借りることを望んでいるのだろうか。本当は自分で自分ことをやった方が良いのかもしれない。僕の祖母はそう思っていたに違いない。人嫌いの激しい人だった。あまり施設の人にも心を開かなかったそうだ。

そう思うと、“デンダラ野”に捨てられた人たちが可哀想なのか、それとも幸せなのか、わからなくなってきた。少なくとも捨てた方は不幸せなのだろうが。

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