【公衆浴場 青柳会館】温泉は熱い、人は温かい 大鰐町の温泉街②

東北紀行文

和食処大福」を出ると、急いで公衆浴場に向かう。時刻は20:45、「からこ」と地元の人から呼ばれているその浴場は21:00までしか営業していないのだ。

急いで暖簾をくぐると、おばちゃんに「早くしてよ!」と少し強い口調で言われた。申し訳なく思いながら急いで風呂に入る。僕も飲食店の〆のバイトをしているので閉店間際に入ってくる客のうっとうしさが良くわかる。

脱衣所に入ると、昔ながらの景色が広がっていた。壁はあるが、少し上の方は女子風呂とつながっている。もちろん風呂の中も天井付近はつながっていて、「こち亀」に出てくるような男子風呂と女子風呂で会話のできる温泉になっている。女子風呂ではもうすでに営業後の電球を取り換える作業をしているのが見える。

男子風呂には誰一人いなかった。少し急ぎで入るけれど、広い浴場を独り占めできた15分だった。温泉は熱いが、何とか入れる温度だ。それでも42度くらいはあったと思うが。

誰もいないということで特別に浴槽内を撮影、掲載する許可をもらった。岩に囲まれて、竹の筒から温泉が流れているような見栄えのいい温泉も好きだが、こんな感じの町人に愛される温泉もまた風情があっていい。

この日は結局「からこ」の隣の駐車場に車を停め、車中泊した。明日は今日のように寝坊できないと思い、かなり早めに寝る準備をして、車の後ろで横になった。

すると、うとうとしかけていたころ、車の窓を叩く音が聞こえた。「喧嘩か?警察か?それとも?」と少し面白がってカメラを回すと………

なぜかリンゴをくれた。

さっきは僕のことを煙たそうな目で見ていたおばちゃんがリンゴをくれたのだ。リンゴというのが青森らしいし、なんだか笑えてきた。緊張と緩和というやつだ。

こうして車の中に野菜果物がどんどん増えていく。この時点でカボチャ二つとリンゴが一つ、ラズベリーが一箱にミニトマトが一袋あった。

「青森っていいところだな、やっぱり東北っていいな」と思いながら、少し寒い夜の温泉街で、気が付かないうちに眠りについていた。

朝湯

朝起きると、もう一度「からこ」の温泉に入った。だが、熱すぎて脚しか入れられない。昨晩は人が入った後だったから多少ぬるくなっていたのだろう。朝湯は結局足湯になってしまった。

風呂から出て、少しロビーでゆっくりする。9:30に開館する弘前市立図書館に行くにはまだ少し時間が早いのだ。

コンセントも貸してもらい、パソコンにGoProに一眼にワイヤレスイヤホンにスマホに、いたるところで充電させてもらい、町の人と一緒にテレビを見てくつろいだ。

するとそこでも、おばちゃんからリンゴ(前日に続き二つ目)と「とうきび」(茹でトウモロコシ)をもらった。

前日に「和食処大福」で作ってもらったおにぎりを食べて、デザートにリンゴを食べる。おにぎりの具はシャケとスジコだった。朝からイクラを食べられるなんてどんだけ贅沢なのか。

昨晩「大福」で握ってもらったおにぎりを朝の温泉で食べる。

パソコンの充電が満タンになったのを確認して、図書館行くにはは少しだけ早いが「からこ」を出発した。

大鰐町にはとてもお世話になった。旅人にやさしい町だった。

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